前回2回目:がんと向き合う2(治療編)では癌の治療方法についてお伝えしました。

今回は
この子の為に、何かできる事はないか?
そう思うオーナー様の為に
家庭でできる事の内、食事 についてお伝えします。
※長くなるので2回に分けてお伝えします。
 

家庭でできる事の内、食事はかなり重要になってきます。

ポイントは
免疫系を強化し、癌の増殖を最小限に抑える事が大切です。

その為のポイントとして
低炭水化物(低糖)・中程度のたんぱく質・高脂肪 です。

悪性腫瘍の場合
そのパートナーの体内での栄養素の代謝が変化します。
代謝異常に陥らせずに、いかに必要な栄養をその子の全身に行きわたらせるか。

まず癌は糖をエネルギー源にします。
従って癌細胞が利用しやすい短糖類や二糖類などを含む果物は避けて下さい。

ただし、例えば余命幾ばくもないパートナーが
果物が大好きだった場合
少しの命を長らえる為に、果物は厳禁だからと与えないというのは
QOLという観点からは疑問が残ります。
そこはケースバイケースでお考え下さい。

次に、たんぱく質について。

利用率の高い良質の動物性たんぱく質を過不足なく与える事が大切です。
腫瘍のたんぱく質合成とエネルギーの為に
腫瘍はパートナーの体たんぱく質を利用しますが、
そのたんぱく質の消費が、食事によるたんぱく質合成を上回ると、
免疫反応・消化管機能・治癒など身体機能に悪影響を及ぼすからです。


また、以下のアミノ酸は癌細胞の増殖・転移を抑制したり、
抗がん剤等による副作用を軽減したりすると言われています。
サプリメントとして摂取する事もご検討下さい。

◆アルギニン 免疫機能の増強。腫瘍細胞の成長・転移を抑制。創傷治癒の促進

◆グルタミン 消化管粘膜の健康状態及び免疫機能の保全

◆グリシン  抗がん剤によって引き起こされる腎毒性の軽減


上記理由から悪性腫瘍をもつワンちゃんは、自らのエネルギー源として脂肪を消費するようになります。
その為、体重が減少する訳ですが、一方で、腫瘍は炭水化物やタンパク質と違って、
脂肪をエネルギー源として利用する事が難しいです。
従って、高脂肪の食事をお勧めします。


しかしながら、脂肪の種類には注意が必要です。
オメガ6系脂肪酸(リノール酸、γリノレン酸)は腫瘍の成長・転移を促進する可能性があります。
魚油のようなオメガ3系脂肪酸(EPA、DHA)は、腫瘍の転移・促進を抑制し、
抗がん剤等の副作用を軽減すると言われています。
サーモンオイルを食事に添加する事をお勧めします。

ただし、オメガ3系脂肪酸は酸化しやすいため、新鮮なものをご利用下さい。

次回は、【家庭でできる事(食事編Ⅱ)】として
ビタミン・ミネラルについてお伝えします。